マルチビタミンの“マルチ”とは?選び方&医療用とのちがい

マルチビタミンの“マルチ”とは?選び方&医療用とのちがい

あたらしい機能性サプリメントが次々と増えるなか、マルチビタミンのような複合的なものの人気は途絶えることがありません。この“マルチ”というのは、何を指すのでしょうか?今回は、マルチビタミンについて知っておきたい知識や選び方、医療用とのちがいについて紹介します。

ビタミン・ミネラルの人気は?2019~2020年の実態調査

サプリメントと聞くとまず、身体にとって必要なビタミン類がバランスよくふくまれている、マルチビタミンを最初に思い浮かべるひとも多いでしょう。そしてこれに、ミネラル類も配合した“マルチビタミン・ミネラル(以降、MVM:multivitamin/mineral)”サプリメントも、同じようによく知るところです。

 

2019年に発表された調査によると、錠剤またはカプセル状の健康食品を摂っているひとの6割以上が、ビタミン類やミネラル類などの足りていない栄養素を補うために摂取していました。

また、別の調査(2020年実施)では、世代で摂取するカテゴリーに差が見られるものの、30~40代は4人に1人以上でMVMサプリメントが第1位。一方、50代以上だと男女ともに、DHA・EPAなどのオメガ3系不飽和脂肪酸が首位でブルーベリーが第3位(第2位は男性が乳酸菌、女性がビタミンC)、MVMサプリメントの順位はそれ以下です。

これらの結果から、年齢を重ねるほどピンポイントで自身の目的にあったものを選ぶ傾向があると言えるのかもしれません。

マルチビタミンの“マルチ”って何?

ここで、マルチビタミンの“マルチ”という部分は、とくに定義がある訳ではありません。これは、販売する企業の判断においてさまざまな組成を考えたうえで、“マルチ”と表記しているというふうにもとれるでしょう。なかにはビタミン類とミネラル類のほかに、ハーブや乳酸菌、アミノ酸など、ひとに有益だといわれる食品成分をふくむものもあります。

 

したがって、“マルチ”と書かれたサプリメントを選ぶときには、その成分表を見て自分に必要な成分がふくまれているかどうかを確認することも大切です。よく分からない場合は、薬剤師や登録販売者(ほか、サプリメントアドバイザーなどの有識者)などに相談してみましょう。店頭ではなく通販サイトなどでは、問合せ専用の窓口を利用して聞いてみるのも方法のひとつです。

マルチビタミンは医療機関で処方してもらえる?

マルチビタミンについて、医療機関で処方を受けることはできません。なぜなら、特定のビタミン剤やミネラル剤とちがって、マルチビタミンは日頃の食生活について補完することを目的としているから。

対して、医療用で処方されることのあるビタミン剤やミネラル剤は、病気の治療や予測される副作用の軽減などを目的として扱われるものがほとんどです。かつては、シミやシワなどの美容目的に対し、保険を適用して処方されていた時代もあったのだとか。しかし、これに関しては現在、自費診療の扱いで医師から提案される商品を購入するという形になります。

「医療機関で処方してもらうほうが効く」と思っていませんか?

たとえば口内炎で医療機関を受診すると、ビタミンB群やミネラルの亜鉛などが、漢方薬や口腔用(こうくうよう、口の中に塗る用の)軟膏とともに処方されることがあります。これは、その用法用量における科学的な根拠があり、多くのひとで一定の効果が得られると分かっている処方のひとつです。

ここで、「やはり医療機関で処方してもらうビタミン剤はちがう!」と思ったことはありませんか?

 

そこには、いくつかの理由が考えられます。まず、保健のきく医療用として用いられるビタミン剤やミネラル剤は、厳しい試験を受けたうえで国の承認が必要です。なぜなら、血液中でたしかな濃度の維持や体内への吸収が得られなければ、治療に用いても効果が得られないから。対するサプリメントには、こうした厳しい試験は課せられていません。

 

また、医療用ではその用法用量が細かく、臨床試験などのエビデンスに基づいて決められています。対するサプリメントは、“1日3~6粒を目安に”というような、とてもアバウトな用法用量です。

つまり、サプリメントは医療用と同じような「効く」「効かない」の目線で見るのではなく、まったく別の「自分に足りているか」「必要かどうか」で認識することが必要だと言えるでしょう。

マルチビタミンの選び方

マルチビタミンを摂るなら、ミネラル類もふくむMVMを摂るほうが一石二鳥です。また、商品によってはこれらのほかに、アミノ酸や乳酸菌、ハーブ、食物繊維、抗酸化物質などさまざまな成分がふくまれているものも。自分が気になっている機能性の成分を組み合わせて、探すのもおすすめです。

また、より自分に合ったものを試したいというひとには、尿検査の結果により個々のサプリメントを組み合わせて、スマートフォンでその推移を確認することができるというサービスを展開する企業(VITANOTE®、株式会社ユカシカド)もあります。

 

サプリメントのバラエティーが豊富になってきた現代だからこそ、自分にあった“マルチ”を見つけて、楽しくつづけていけることが大切です。

この記事を書いた人

ドラッグストアで売っているサプリメントの効果は? 株式会社リテラブースト 代表取締役 曽川雅子
資格 薬剤師、登録販売者、保育士
経歴 現・東北医科薬科大学卒。2017年に株式会社リテラブーストを設立し健康に関するイベントや、健康診断でなじみの9項目が指先から1滴の血液ですぐに分かる検体測定室(簡易血液検査)をプロデュース。15年間の薬局勤務と人事経験を活かした執筆活動では、大手の介護系企業や製薬企業からウェルネスに関する総合情報配信サイトまで2年間で累計100本を超える記事提供の実績がある。

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