“整うサプリ”や“潤うサプリ”など、現代では多くのサプリメントがあります。これを安全かつ、効率的に選ぶには健康食品の分類を知ることが基本です。一部では“ベース系”、“ヘルス系”といった考え方もあるものの、国が定める基準について知っていますか?今回はサプリメントを信頼ある情報源で調べるときに必要な国の定める分類や、2019年におこなわれた実態調査について紹介します。
サプリメントの「定義」
サプリメントの「分類」を考える前に、まずその定義から見てみましょう。サプリメントの「定義」は国ごとでことなり、日本ではその明確なものはありません。一般的に、健康食品とは「健康に良いことをうたう食品全般」を指し、サプリメントとは「特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形態の製品」が当てはまると考えられています。
対して米国では、「従来の食品・医薬品とはことなるカテゴリーの食品で、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ハーブ等の成分を含み、通常の食品と紛らわしくない形状(錠剤やカプセル等)のもの」と定義され、ヨーロッパでも同様のものを“Food Supplement”と定義しています。
ただし、日本では大きく「医薬品(医薬部外品をふくむ)」と「いわゆる健康食品」に分けて、この「いわゆる健康食品」をさらに細かく位置づけるための定義があります。そして、ここに含まれるサプリメントは、その細かい定義にしたがって分類。つまり、基本となるサプリメントの分類は、4種類あると捉えることが出来るでしょう。
信頼性の確認に必要!サプリメントの「分類」4種類
サプリメントの定義が存在しない日本において、その「分類」は4種類あると考えることができます。それは、「特定保健用食品(通称トクホ)」「栄養機能食品」「機能性表示食品」「その他のいわゆる健康食品」の4つです。信頼性のある媒体(本や公式サイト、学術論文など)では、この分類をつかって解説や注意事項などの情報を発信しています。また、実際の商品に記載されているのも、この4種類。
したがって、この4種類以外の表記があったとしても、その科学的な証明や国の関与はどこにもありません。
もっと分かりやすい、サプリメントの「分類」はないの?
たしかに、サプリメントをサイトで探すときに「機能性表示食品のサプリメント」と検索するひとは滅多にいないでしょう。一部のサイトでは国が定める4分類のほかに、“ベースサプリ”や“ヘルスサプリ”といった、サプリメントの考え方(あるいは捉え方)などを提案しているところもあります。さらに通販サイトでも、 “個別サプリ”や“エナジーサプリ”などと表現して、消費者に分かりやすく解説しているものも見受けます。
大切なのは、自分にとって摂る目的を明確にしたうえで当てはまる栄養素を選び、4つの分類を参考に安全性を確認するということです。その目的は、次にあげる3つの視点で考えてみるとよいでしょう。
【サプリメントを摂る目的を明確に】
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目的①
ふだんの食事で不足しがちなものを補う(アミノ酸やビタミン、ミネラルなど)
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目的②
免疫の維持や抗酸化など健康増進をねらう(アスタキサンチンやルテイン、カテキンなど)
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目的③
特定の部位やパフォーマンスを考える(クレアチンやグルコサミン、ウコンなど)
実態調査が語る!現代人がサプリメントに期待すること
2019年に国民生活センターがおこなった実態調査から、現代人における健康意識の高さが見てとれるでしょう。この結果で、錠剤またはカプセル状の健康食品を摂るひとの約66%が、「足りていない栄養素の補給をうたう機能」の商品を選んでいるということが分かります。続いて多かったのは、「体力、持続力の維持・向上」とならんで「美容、デトックス、エイジングケア(抗加齢)、老化予防・防止」をうたう商品で、ともに約32%でした。
これにより、6割以上のひとが日常の食生活で補いきれない栄養素や、身体にとって摂るほうがよい栄養素について理解していると想像することができます。
価格は1ヵ月で3000円まで、重視するのは「効能」が最多
また、1ヵ月あたりにかける金額についても調査しています。結果は、1,000~3,000円未満がもっとも多い約4割、次いで1,000円未満の約3割、そして3,000~5,000円未満の約2割でした。
そして、錠剤またはカプセル状の健康食品を利用するときに重視する項目では、「うたわれている効能など」がいちばん多く回答を得ています。これは、「メーカー名」や「成分の含有量」をともに約3倍も上回る数です。一方で、医師や芸能人、人気ランキングや口コミを重視するというひとは全体の5%におよびません。
この結果は、自分にあう健康食品を金銭的にも考えて継続するのがよいということを、多くのひとが認識していると言い換えることも出来るでしょう。
10人に1人は、医薬品とサプリメントの区別があいまい
ただ、この調査では興味深い結果もあります。それは、自由記述式で回答する「健康食品(錠剤・カプセル状)の販売者名と商品名」に関するものです。結果は、およそ10人に1人が医薬品に該当する商品を、健康食品として認識していることが分かりました。
一方、健康食品の制度に関する認知度では、8割以上のひとが何らかの形で理解しているという回答も。ここでいう制度は、「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」「機能性表示食品」に加えてGMP(適正製造規範)※に関することでした。このうち「機能性表示食品」というのは、2015年4月から始まった制度です。
現代人の健康食品に関する意識は、こうした法改正も背景にあることで高まってきているのかもしれません。工夫を凝らされた商品解説に関する表記がたくさんあるなか、安全な商品かどうかも見極めながら取り入れていきましょう。
※GMP(Good Manufacturing Practiceの略、適正製造規範):原料の入庫から製造、出荷にいたる全過程で「安全」に作られて「一定の品質」が保たれるように定められた規制とシステムを指す。