“サプリメントの処方”というのは受けられますか?

“サプリメントの処方”というのは受けられますか?

「サプリメントが医師に処方してもらえたらいいのに」と感じたことはありますか?基本的には、サプリメントは一般的にいう“処方”の対象ではありません。しかし、健康意識の高まりつつある現代では希望者に対し、知識をもつ専門家がサプリメントを“広義の意味で処方”するケースもあるようです。今回はサプリメントの“処方”に関する正しい知識と、処方を受けるメリットとデメリットについて解説します。専門家に相談しようか迷っているときにお役立てください。

“処方”という言葉がもつ、本来の意味とは?

まず、“処方”という言葉を聞いてどのような印象を持ちますか?たとえば、「医療費がきいて安い」「医師が選ぶので安心」というように感じるひとも多いでしょう。あるいは、「一般には買えないもの」という印象をもつひともいるかもしれません。しかし、これらのほとんどは間違いです。

そもそも、“処方”という言葉は「処置する方法」のことをさし、これについて医師が患者の病気に応じた薬の調合(レシピのようなもの)や使い方を記した書類が“処方せん”※。つまり、本来の“処方”とは病気のひとや動物を治すために医師や歯科医師、獣医師がおこなう指示のことなのです。ここで、サプリメントは病気を治すためのものや直接的な予防に効果のあるものではありません。したがって、“サプリメントを処方する”というのは本来の“処方”の意味とは異なるものになるでしょう。

ただ、現代ではセルフメディケーションへの意識の高まりから、サプリメントを日常的に摂るひとも増えています。ここに、専門的な知識がないと新しい成分やその含有量などを見極めることは、むずかしいと感じるひとが少なくありません。これに対して安全かつ自分に合ったものを選択できるように、医師などの専門家がアドバイスをおこなって選ぶことを広義の意味で“処方”と表現するケースもあるようです。

 

※参考元:大辞林より「処方」および「処方箋」を検索。

“処方サプリメント”のメリットは安心につながること

広義の意味でいうサプリメントの処方(以降、処方)では、メリットとデメリットの両方を知っておく必要があります。これは前述の、“広義でいう処方”をおこなう医師のほか、薬剤師や管理栄養士などの専門家においても同じような認識を持っておくことが必要でしょう。

まずメリットは、「治療を要する領域」と「未病※の領域」との境界線について、知識を持った専門家からアドバイスが受けられるという点です。ただし、その専門家には最新の知識を学びつづける姿勢と実行力が備わっている必要があります。さらに臨床や販促、研究開発などの場における経験が豊富であるにこしたことはありません。これにより、未病の段階でサプリメントを試し始めたひとが違和感を覚えたとき、すぐに相談できる環境があるため安心につながります。

もし、専門家が医師ならば治療が必要となったときに未病の段階から積み重ねてきたデータをもとに、スムーズな治療へと移行することが可能でしょう。一方、薬剤師ならば複数のサプリメントや健康食品を重ねて摂りたい場合や、服用する医薬品との相互作用も確認しながらアドバイスが受けられます。また、管理栄養士ならば日常の食事内容や食品どうしの組み合わせについても専門的な視点でアドバイスを受けることが可能です。

 

※未病:発病には至らないが健康な状態からは離れつつある状態を示す。検査結果からの診断では治療を要する範囲(病気の段階)に該当していない状態で、自覚症状の有無は人によって異なる。

“処方サプリメント”で注意したい!デメリット

サプリメントの処方で、注意したいデメリットは2つあります。ひとつは「多くの場合で保険の適用外」ということ。現在、国民皆保険制度※のある日本では、“医師が処方せんに書いたものはすべて保険が適用される”と思い込んでいるひともいるかもしれません。しかし、この制度は国の医療費で賄われており、ここに未病の段階における処置の意味合いは含まれていないのです。

その場合の処方せんは1~3割といった医療保険をつかうときの負担額ではなく、10割の“自費処方せん”(指示せん、指示書ともいう)として、会計ではその処方にかかるすべての負担額(10割)を支払います。また、処方されるものが医療用医薬品として価格設定のないもの(ほとんどのサプリメントがこれに該当)は、事業所ごとに価格も異なるということに注意が必要です。

もうひとつのデメリットは、「あくまでも自己責任」だということ。もし、専門家が選んだもので体調を崩したとしても明らかな因果関係がないかぎり、責任をとってくれる訳ではありません。大切なのは自分にとって必要な栄養素が何なのかを、自分自身でもよく考えることです。つまり、専門家からのアドバイスや体調における詳しい分析を受けることは自分をよく知るための手段のひとつだということを忘れてはいけません。こうした一つひとつの積み重ねが、自分にとってサプリメントの目的を明確にするためにも大切です。

 

※皆保険制度:国民全員を公的医療保険で保障し、安い医療費で高度な医療が受けられる保険医療水準を実現するための制度。1950年代の戦後日本で社会保障の充実を図る構想の一つとして「国民皆保険の実現」が閣議決定、その後1957年の国民健康保険法 改姓を経て1961年4月に達成された。

自分で選んで買うより、処方してもらう方がいい?

サプリメントについて専門家に相談するかどうかは、自分自身で摂る目的をしっかりと認識できているかによって大きく分かれます。ここで重要なのは、年に1回以上の健康診断をきちんと受けているかということ。また、治療を受けているひとは、あらかじめ主治医に相談してから摂るようにしましょう。

そして、身体のどこかにはっきりとした違和感や不調を抱えている場合は、まず医療機関を受診することが前提です。その結果、とくに異常がなく医師からも治療の必要性を指示されなかった場合にサプリメントなどを試すことになります。

これらの経緯と結果を受けて、自分で何を選んだらよいか見当のつかないひとは専門家に相談してみましょう。相談相手となる専門家の種類は、最初はどの専門領域から入っても構いません。的確にエビデンスを持って導いてくれる専門家なら、分野が異なる場合には目的に合った専門家を紹介してくれるはずです。

この記事を書いた人

ドラッグストアで売っているサプリメントの効果は? 株式会社リテラブースト 代表取締役 曽川雅子
資格 薬剤師、登録販売者、保育士
経歴 現・東北医科薬科大学卒。2017年に株式会社リテラブーストを設立し健康に関するイベントや、健康診断でなじみの9項目が指先から1滴の血液ですぐに分かる検体測定室(簡易血液検査)をプロデュース。15年間の薬局勤務と人事経験を活かした執筆活動では、大手の介護系企業や製薬企業からウェルネスに関する総合情報配信サイトまで2年間で累計100本を超える記事提供の実績がある。

他の記事も読んでみる